Take One

夕暮れ時になると、犬の事を思い出す。

僕が育った家は、小高い丘のふもとにあった。
山の頂上には展望台が造られていた。

太陽が西に傾く頃、
僕は犬を連れてその山を登った。
展望台からは工場地帯を挟んで、
向こうに海が見えた。

赤く染まっていく空の下で、
探し物でもするかのように
熱心に空と海をみつめた。

すっかり日が沈み、工場に灯りが燈るまで、
僕はじっとしていた。

犬はいつも困っていた。
主人をおいて行くわけにはいかない!
展望台の周りを、
草むらの中を何か探すふりをしながら、
主人が動き出すのを待っていた。

はたから見れば、
僕たちはお互いに、
空と地上で熱心に探し物をしているように
見えたであろう。

でも何かを探していたわけではなかった。

ただ待っていたのだ。

僕は灯りを、
犬は動きを。

そして、
帰りは真っ暗な中を一気に駆け下りるのだった。

僕は犬の息を聞き、
犬は僕の足音を聞き、
闇など少しも怖くはなかった。

Leisure Pleasure Tresure

「僕にとって音楽とは?」と聞かれたら、このタイトルを口にするでしょう。
こちらは、日のあたるポジティブな側です。
僕も人間ですから、やはりダークサイドの答えもあります。
いつかはそんなタイトルの曲も創ってみたい。
でも、誰もその曲は聴きたくないでしょうね。

Requiem

母方の祖母が亡くなった時、
あの世で上手くやっていってもらうために作曲しました。
時々その目的を忘れてピアノを弾いてしまうのですが、
それはそれで有りだと思います。
この曲を弾く事は、僕の魂への栄養補給になっていますので。
願わくはこの曲が流れる度に、祖母の魂にも栄養補給できていると良いのですが。

Two Days Late

二日遅れで曲が仕上がりました。
「ああ、遅れたけれど、出来てよかった。」
と思いながら空を見上げると、ぽっかりときれいな満月でした。
その時、この曲の名前は「二日遅れ」君だとしりました。
わざとこの日を待って生まれてきたのでしょうと、
自分の遅筆に言い訳。

Jinchouge(沈丁花)

僕は、沈丁花の香りを嗅ぐと、一瞬現実を見失います。
気が遠くなるような、ずっと探していた探し物が見つかったような、別世界にひきこまれるような。
うまく説明できないけれど、不思議な感覚に陥ります。
おそらくこの症状は、ラベンダーの香りを嗅ぐとタイムトラベルしてしまう
「時をかける少女」症状なのでしょう。

Photos

思い出の詰まった
ピアノ


Looks Like Lenny Tristano!?


Master of Swing!
川口昌二


Master of Tabla!
立岩潤三


Stratocasterと
蒲原隆太


Mastering at Saidera

Silversea
Silversky


Bluesea
Bluesky


これが展望台


展望台からの景色


展望台からの景色


Sunsetsea


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