Siberaのリズムでは、2:3の基本パターンを発展させました。
図3(Figure3)を見てください。拍子は音楽用語で9/8と表記され得ます。1小節に9つの拍が鳴っています。
9は奇数ですから、半分にできないはずですが、この曲ではこの9つの拍が無残にも正確に半分に引き裂かれて、
その半分の部分の上では3つの拍が鳴っています。
Toward Siriusでは、3:2の基本パターンを発展させました。
図4(Figure4)を見てください。リズムの1周期を4/4で2小節としました。
1サイクルが、通常の音楽の倍の長さになっています。
「どうして、こんな迷惑な話を始めるんだ!」とお考えでしょうか?
いえいえ!
私としては、面倒を持ち込むつもりでは無くて、むしろ、この世で最も美しい作曲技法をみなさんに紹介しているつもりなのです。
ポリリズムを聴いていると、感情が高まり、素晴らしい気分になりませんか?
ちなみにアイドルグループ「パフューム」の曲「ポリリズム」ではポリリズムは使われておりません。スリップビート等と呼ばれるもっと簡易なリズムの遊びが使われています。
私は、1995年から2000年の5年間、ポリリズムに熱中しました。
アルバムTake Zeroからは、"So Far So Long"と"All The Flowers"と"Logan Airport Terminal B"がポリリズムの曲です。
アルバムTake Oneからは、"Jinchouge"と"Leasure Pleasure Treasure"のリズムの土台、"Requiem"の1部分がポリリズムで作曲されています。
アルバムTake Twoからは、すでに上述した2曲です。
当時は、たくさんのコンサートでこれらの曲を演奏し、ピアノで即興演奏していました。
しかしポリリズムの曲で即興演奏するのは大変です。
たくさんの高い能力が要求されます。鍛え上げたリズム感だったり、上質な演奏技術だったりです。
しかし聴いている人達には、ポリリズムの上で即興演奏しているかどうかなんて、どうでも良い様でした。
私のやる気は急速に萎えていきました。
とうとう、ポリリズムの曲を作ることを止めてしまいました。そしてポリリズム博士になる野望も捨てました。
音楽って本当に不思議です。
音楽には理解不能な点が多々あります。
楽器を弾くことで、聴衆とコミュニケーションをとる事ができる事実もその一つです。
音楽自体には何の意味も含まれていません。しかし音楽を奏でることで、人と交流できます。
結局、音楽の女神が居ると考えるのが1番良いのかもしれません。
女神は地球上で流れているあらゆる音楽を見張って、聴いているのかもしれません。
女神は、どうやら気まぐれな方のようです。そしてちゃんと厳格なルールを守っている訳でもなさそうです。
ある時は僕を助け、ある時は僕は見捨てられる。
いつでも僕が助けてもらえる方法がどうしても見つかりません。
もちろん、彼女なりのルールがあるのだけれど、僕がそれを分かっていないのかもしれません。
だから、僕は祈ります。
あなたがこのCDを聴くことで、あなたと私の間に交感が生まれますように。
そして、女神が僕を哀れんで、助けてくれますように。